特集

上矢作に暮らす人や風景

大船神社 総代会会長 小木曽善一さん 宮司 三宅博幸さん

大船神社総代会 
会長 小木曽善一さん (横道地区)
宮司 三宅博幸さん (名古屋市在住・木の実地区出身)

取材日 :

聞き手・広報 永井さやか

毎年数回開催される、大船神社の大祭が開催されます。
その合間をぬってお二人にお時間をいただきました。

大船神社はどんな神社ですか?

小木曽さん:

大船神社については、ここらの(この地域の)小さな氏子をまとめた神社です。
大船神社には神様がいっぱいいるんだけど。どんな神様がいるのかは宮司さんの方が知っているので・・・。

三宅さん:

大船神社は、6体(6つ)の神様が祀られていまして、1)丹生権現 2)清滝権現 3)白山権現 4)高野大明神 5)稲荷大明神 6)気比大明神 が祀られています。いろんな神様にはそれぞれのご利益、持ち分がありまして、全体を通していいますと、縁結び、夫婦円満、交通安全、衣食住の神様、農業の神様。それぞれご利益があるといわれています。
上矢作は独自の神社がそれぞれの地区に、神社庁に登録されている神社が11社あるんです。その総社といいますか、元締めのような形で大船神社があるということです。
通常であれば、自分の地区にある神社を崇拝するのですが、(上矢作は、)プラスして大船神社がある。全員ではないですが、二つの神社を、崇拝しているというのが、特徴だと思います。
神社の格としては、このへんでは高い位にある神社です。

年間を通じて、どんな活動をされていますか?

小木曽さん:

月1回の例祭が8回、大祭が2回。祈念祭と大祓祭が2回。元日には歳旦祭。合計14回のお祭りをします。

三宅さん:

基本的には月1回以上はやっている。場所が標高1100mというところで、なかなか参拝者には大変な所でして。お祭りとはいえ当番の方くらいしか参拝者がいないということで、ちょっと寂しいですが。大祭の時には、役員さんにも来賓の方も招待して盛大にやるんですけど。
ぜひとも、みなさんお参りに来ていただけることを願っています。

大船神社の役はどんな思いでされていらっしゃいますか?

小木曽さん:

自分から進んでやるというお役ではなかったので、まあ引き続き滞りないように、何も無いようにということでやっています。
昔ながらの神社仏閣というのは、昔ながらのしきたりがあり、改革というのはままならんというところはあるんですが。なるべく跡継ぎには、できれば、なるべく簡素にして渡したいなと思っています。

三宅さん:

実は、私も積極的に手を挙げて宮司という立場になったわけではないですが、皆様方に後押しをされたものですから、15,6年前にお引き受けをさせていただいていますけども。全町民様の神社ですので、それなりの責任は重いと痛切に感じています。やってみると、みなさんの協力もあり、務めさせていただいてます。特に総代さんにはお世話になっていまして、私はひたすらお祭りを一生懸命やるという立場なんですが、そのお祭りに向かっての段取りだとか、地元の皆さまの総意だとかをまとめていただいて。大変感謝をしているところです。

関わってみて大変だったことかあれば教えてください。

小木曽さん:

月1回のお祭りがあること。標高1,100mと、この辺では珍しい神社だと思いますが、車ですぐ行ける神社ではないですし、この間も大祭の時には通行止めで、別の神社をお借りしてやったのですが。工事中や、災害とかで通行止めで、上の神社まで登っていけないことがある。そういう時の段取りが大変かなぁ。毎月1回お祭りをやることが、ちょっと大変かなぁ。

三宅さん:

おっしゃる通りで、設置された環境が厳しい。1000m超えで冬は雪が降ることもありますし、途中の道路が災害にあうこともある。予定通りに進まないこともたくさんあって、調整が大変。わたくしの場合は、段取りしていただき(宮司として)祭りを行うという形ですので、ステージを作ってもらいますので、それに対して苦労することとかはないんですけど、でも役割の責任は感じています。

小木曽さん:

別の神社を借りる時は、本郷の八幡神社をお借りすることになっています。
敷地内には「大船山拝石」と書いてある石があって。

三宅さん:

昔、大船神社まで登ることの出来ない人等がお参りするためのもので、大船神社の参道の入口に八幡神社があるので、つながりが強いのではないかと思います。

大船神社の魅力について

小木曽さん:

ご利益がたくさんあるということが魅力かな。(笑) 文化財もあること。
当時、道のない時代でも、あの場所にあれだけの建物があるということは、すごいことだと思います。

三宅さん:

岐阜県の重要文化財ということで、今年の7月に大船神社の本殿等が岐阜県有形重要文化財に指定されました。その本殿にある彫刻が有名で。立川流三代目和四郎富重。長野県諏訪の大工さんが彫られたそうなんですが。彫刻だけは既に昭和37年2月に岐阜県有形重要文化財に指定されています。今回は建物そのものも指定され文化財としても非常に価値が上がりました。
その横にも、弁慶杉があるのですが、環境庁巨樹岐阜県第2位に選定されています。岐阜県で2番目に大きい。(白鳥町に一番大きいものがあるらしい)。
弁慶杉も昭和34年3月に岐阜県天然記念物に指定されています。最近は台風や大雨で枝が折れ元気がないようですが・・・。
弁慶杉と言われているので、鎌倉時代に弁慶が植えたという言い伝えありますが・・・。樹医による樹勢回復事業の時、樹齢2500年を超えてると診断されています。自然の木なので朽ち果てるのもしょうがないのかもしれませんが。
もう一つ、大船神社参道の松並木も昭和34年3月に岐阜県の天然記念物に指定されています。毎年夏にみんなで手入れをして保護・保存活動を行っています。最近は松食い虫が入ってしまっていて、本数が減ってしまってきています。駆除はしていますが、自然の力には勝てないと思っています。

上矢作に魅力について

小木曽さん:

住めばみやこなんだけど・・・。ありきたりの山や川かな。
遠いなんとかより、近くの何とか。その田舎ならではの人の良さかなぁ。
この2,3日考えたけど。それだけいいところなんだと思う。

三宅さん:

私はここ(上矢作)を離れていまして、高校を卒業して名古屋へ行ってしまいましたが、両親が亡くなり、家を放っておけないので、土日はなるべくこちらで生活をしているんです。
友達や孫を連れてきて、遊ばせています。都会とは遊ぶことが違うので。
魚を捕まえたり、川で泳いだり。自然とかいろいろな魅力があるのかな。
最近は娘や友達も民宿代わりに利用してくれてて。
BBQや大声でカラオケを楽しんでいます。
自然豊かな町で・・・。そこが、大きな魅力だと思います。

ありがとうございました。

※参考

■ 岐阜県指定文化財・天然記念物

  • 有形重要文化財(県重128号) 大船神社本殿の彫刻 昭和37年2月12日指定
  • 天然記念物(県天25号) 大船神社の弁慶杉 昭和34年3月10日指定
  • 天然記念物(県天26号) 大船神社の参道の松並木
  • 岐阜県重要文化財(建造物) 大船神社本殿 平成4年7月12日指定

■ 恵那市指定文化財

  • 建造物(恵有第27号) 大船神社拝殿 平成8年11月7日指定