特集

上矢作に暮らす人や風景

梅雨明け 2022年夏のシーズンに向け来客準備の進む澄が瀬やな

組合長 大島善量さん
副組合長 松岡和美さん

取材日 : 2022年7月

インタビュー・永井さやか(地域自治区運営委員会)

澄が瀬やなを経営されているお二人にインタビューしました。

澄ヶ瀬ヤナに携わることになったきっかけは?

大島さん:

50年くらい前になるけど、ここらの衆が昔ここにヤナがあったんでやってみてはどうかと話があった。平成25年までやったけど、みんな年取ったで(営業)やれんなということになったけど、取引していた魚を持ってくる業者さんが跡を継いでくれたのでお願いしてやってもらっていた。それで4年間やったけど大変で…。業者からなんとかヤナを残してほしいということで、地元メンバーを10名ほど集めて続けている。
令和2年度はコロナで休んで、前年はコロナがあったけど営業して、コロナ前の営業成績の半分ぐらいだった。それでも今年は頑張ってやるか!と準備している。

松岡さん:

38年間千葉で仕事をやっていて、退職して、滋賀県の業者がきて手伝ってもらえないかと話しをいただき、お手伝いを始めました。私も50年前から携わっていて、退職と同時にこちらへ戻ってきて、8年目。

大島さん:

そんなわけで、抜けれんようになった(笑)
河川の状態も悪くて・・・。恵南豪雨から川を構っちゃって、(工事して川の流れが)向こう岸に流れるようになった。こちら側に水量がなくなった。思案したけど。(さらに)令和元年度の営業前に簗を作っていたが、大雨で壊れちゃった。残念だけど簗つくりを止めようか。となってしまった。魚が採れなければどうしようもない。水が来ないので・・・。そんな経緯です。

澄が瀬やなの仕事は主に何をされていますか?

大島さん:

生魚(活きたアユ)が相手なので、冬場は用事がないけど、これからは営業前に、増沢に池があってそこに(アユを)ストックしておく。魚によっては、弱い時があって、池で死んでしまうこともある。そういうのが一番心配です。大雨で(池が)濁ったら、弱って死んでしまうこともあるし。すごい心配です。営業期間中は、アユを料理したり、その日の段取りとか。

松岡さん:

完全に分業でやっているので、(大島組合長は)生魚(アユ)中心に手配とかをやって、他の渉外・事務・総務全般は私が引き受ける。(時期になって)従業員が来れば、五平餅焼く人、フロアの人、魚焼き担当の人と、ローテーション作って2か月間回す。そんな感じで。
簗が始まる10日前くらいから忙しくなって、簗が終わって10日後くらいまで。2か月と20日くらいは一番忙しくて。それが終われば会計処理とか。

大島さん:

あとは、見回りくらい。

関わってみてよかったこと・大変だったことはありますか?

大島さん:

お客さんが待っていてくれて、たいへん喜んでくれる。それが一番やりがいがある。大変だったことはいっぱいあります。暑い盛りにものすごい勢いで魚を焼く。(焼き場は暑いので)みんなにはなるベく外に出でおくように(焼き場から)離れるように声をかけている。ケガのないようにしている。

松岡さん:

従業員の健康管理が一番。年に数回は気持ち悪くなって倒れたりする従業員がいるので、極力そうならないようにしている。どうしてもみんな無理ちゃうからね。忙しくなると。
集中豪雨で、この簗の高さまで(河川の川の)水がくるので、(去年もあった)いつそんな状態が来るかわわからないので、(施設や備品など流されないように)上にあげたりとか。
臨時休業にするとか、大変だった。
6月15日から予約受付を開始しましたが、毎日ひっきりなしに電話がかかってくる。
みんな待ってくれている。
そんなことで、なかなかやめたいけどやめられない。(笑)
一旦足を突っ込んじゃったので。やめたいんだけどやめられないという気持ちをみんな持っているんじゃないかな。

大変ながらも活動を続けている思いを

大島さん:

いつ辞めてもいいなと思っていても、お客さんが待っていてくれるとか、何とか、みんながやれるうちは一生けん命やろうかなと思ってます。ちょっとでも長くやれるように…。

松岡さん:

みんな高齢で、80歳前後の方がかなりのパーセンテージを占めているので、若手を入れていかなければいけないけど、2か月だけの仕事なので常勤でというわけにはいかない。どうしてもその人に頼ってしまう。

大島さん:

人の確保が難しい。

上矢作の魅力を教えてください。

松岡さん:

実は名古屋で上矢作を盛り立てようという動きがあります。大島さんの3男が名古屋にいて、アライダシを散策した後に簗にアユを食べに行くというツアーを組んで、15人くらいで行く予定がある。名古屋の旅行会社の方でそういう働き手をしている人がいて、40人くらいでバスツアーに行きたいという話も出ている。上矢作はかなり自然に触れ合えるということで、地元の人は知らないけど、名古屋では結構盛り上がってきていて、(澄が瀬やなの)ホームページや、このようなインタビュー記事をリンクしてもらってみてもらっている。
我々は気づいていないけど、都会の人はすごいいいところだと気づいて来てくれる人が増えてきているので、そういうことを大切にしていければいいかなぁと思います。
(上矢作は)春夏秋はいいけど、冬はどうしようもない(笑)
もっと川だけじゃなく、ハイキングコースを整備して、梁とセットでやるといいですね。
明智鉄道の岩村駅で乗り換えて、バスでここまでくる人もいる。梁に来てこの辺を散策して、お寺を見てまた(3時の)バスで帰る。1日楽しんでいる人もいる。
そんな方がこれからも増えるといいですね。

<澄が瀬やな WEBサイト>
https://www.sumigaseyana.com/